延床18.7坪。
けっして広いとは言えないサイズだが、この家には窮屈さがない。
都内の住宅街に建つKさん家族の住まい。
「この広さで、本当にのびのび暮らせるかな?」と、スタート時はちょっぴり不安もあったという。
そんな夫婦がパートナーに選んだのは、先にご両親の家を手掛けていた建築士の三浦さんである。
2人が希望したのは、ゆったりと過ごせるLDK。
狭小住宅では採光や広がりを確保するため2階リビングにするケースも多いが、
Kさんご夫婦が望んだのは1階リビングだった。
そこで三浦さんは、空間を実際以上に広く感じさせる設計を取り入れることに。
キッチン、ダイニング、リビングで天井高に変化をつけ、
キッチンから奥へ進むにつれて段々と天井が高くなる構成は、
視線が自然と奥へ抜け、面積以上の広がりを感じられる。
コンパクトな住まいだからこそ、ちょっとした空間の使い方がじわりと効いてくる。
階段下には、週に3〜4回在宅ワークをする夫人専用のワークスペースを設置。
ほどよくこもれる空間では「いつもここで仕事をしています」というほど
お気に入りの場所になっているそうだ。
家事のしやすさにも配慮されており、
2階の洗面脱衣室はゆとりのある広さにし、その隣にウォークインクローゼットを配置。
洗う、乾かす、しまうが一か所で完結する動線で、
日々の家事がぐっとスムーズになったという。
大きな吹き抜けを通して、家全体がゆるやかにつながる。
リビングにいても、2階にいても、どこかに家族がいる。
ふとした瞬間に、その存在を感じる。
「住んでみて、こうすればよかったと思うところがひとつもないんです」そう話す夫人。
コンパクトな住まいでも、暮らしはのびやか。
そんな家族の気配が心地よい住まいが完成した。
素材の質感が重なる穏やかな場所
オークの床と塗り壁風のクロスが作る、柔らかな空気感。ダイニングのすぐ隣にワークスペースを配置し、家族の気配を感じながら過ごせるレイアウトに
空を切り取る、黒の佇まい
スタイリッシュな黒の外壁に、個性的な屋根のライン。キューブ型のサイディングが描く陰影が、シンプルな外観に豊かな表情を添える
天井高のリズムで広さを演出
キッチンは下がり天井、リビングは折り上げ天井に。天井の高さに変化をつけることで、キッチンから見た際に空間が段々と広がっていくような、実際の面積以上のゆとりを感じさせる設計
階段下に潜む自分だけの特等席
三角屋根がかわいい夫人のためのワークスペース。お気に入りのクロスに囲まれて、仕事に集中できる大切な場所に
「1階リビング」という選択
「家族が集まる場所を広くしたい」という夫人の希望を叶えた1階LDK。南側からの採光を計算し、密集地でも明るく落ち着いた団欒が生まれる
会話が弾む目線の高さ
キッチンの床をあえて一段下げる。たったそれだけのことで、料理をする人と座る人の目線が重なる。何気ない会話が、もっと楽しく、もっと近くに
18.7坪を広く使う工夫
グレージュで統一した落ち着きのあるLDK。白いアイアン手すりの階段を採用することで、視覚的な抜け感を確保。1階のほぼすべてを居室に充てることで、コンパクトな敷地を感じさせない広さを実現
白で整えた機能的なキッチン
リビング全体を見渡せる、対面式のキッチン。手入れのしやすいフロアタイルやシンプルなデザインが、日々の家事を軽やかに支える
「ただいま」後の気分も上がる
玄関を入ってすぐの場所に設けた洗面スペース。お気に入りのミラーと照明が、帰宅した瞬間をパッと明るくしてくれる
毎日を整えるクローゼット
アーチの垂れ壁が印象的な入り口。奥にはパウダースペースも設け、朝の準備を特別な時間へと変えてくれる
深い青に包まれる寝室
天井に落ち着いたネイビーを配し、高さをあえて抑えることで生まれた安心感。一日の終わりを静かに整える落ち着きある空間
隠さないクローゼットで“広見え”
4.5帖のコンパクトな子ども部屋は、扉のないクローゼットで開放的に。空間を広く見せるだけでなく、物の出し入れもスムーズ
家事効率を最大化する動線
2階の洗面脱衣室はゆとりある広さに設計。ガス乾燥機のすぐ隣にウォークインクローゼットを配置することで、洗濯物を「しまう」手間を大幅に軽減する合理的なレイアウト
素材で玄関の奥行きを演出
玄関ホールには、表情豊かな石目調のアクセントクロスを採用。素材感にこだわることで、コンパクトな空間に落ち着いた表情と奥行きが生まれた
アーチが誘う飾る楽しみ
2階ホールに設けたアーチ型のニッチ。背面クロスの色を変えて、家族写真やお気に入りのインテリアを引き立てている
光の揺らぎを楽しむ、癒やしの間
照明を点けると、壁に水面のようなきらめきが広がる。毎日使う場所だからこそ、一番の癒やし空間に
時を刻む真鍮の灯り
ニッチを照らすアンティーク調の照明。暮らしの思い出が増えるとともに、真鍮も味わい深い色へと変化していく
壁の中に小さなギャラリーを
玄関の壁を有効活用した飾り棚。シューズボックスを置かないことで広さを確保しつつ、家族の「好き」を飾って楽しめる場所に