仕事の時間と、家族の時間。
どちらも大切にしたいから、暮らしも働き方も、もっと自分たちらしく整えたい。
そんな想いをカタチにした、職住一体の住まいが生まれた。
この家の真ん中にあるのは、広々とした土間リビング。
コンクリートの床がラフでかっこいいこの空間は、使い方のルールがない自由なステージ。
ある日はお子さんがダンスの練習に熱中し、ある日は夫人がヨガで心と体を整える。
夫婦で楽器を奏でる、かけがえのない時間もここで生まれる。
フレキシブルな余白が、家族の「やってみたい」を軽やかに叶えてくれるのだ。
暮らしの「OFF」を彩る土間リビングに対し、
仕事の「ON」への切り替えを担うのが、2階に設えた書斎。
天井まで続く造作の本棚には、美しい木目のタモ材を贅沢に採用。
大切な本が日焼けしないよう光の入り方まで計算された空間は、まさしくプロの仕事場だ。
扉を閉めれば静かな集中モードに、開け放てば家族の気配を感じられる。
この絶妙な距離感が、在宅ワークの質をぐっと高めてくれる。
共働き夫婦の毎日を支える、ストレスフリーな家事動線も見逃せない。
「洗う・干す・しまう」が3歩で終わる洗濯動線や、物が散らからないように考えられた収納計画。
日々の小さな「面倒」を解消する設計が、忙しくても無理なく整う暮らしを実現する。
集中する静けさも、家族の笑い声が響く賑やかさも、この家がしっかりと受け止める。
ONとOFF、どちらの時間も豊かにしてくれる住まいが、これからの家族の物語を紡いでいく。
視界のノイズをなくす
吹き抜けとスケルトン階段が、光と視線がどこまでも抜けていくような、開放的な空間を演出。掃き出し窓の向こうにはウッドデッキが広がり、室内にいながら外の気配を感じられる。当初は折戸も検討したが、「窓の線が多くなりすぎませんか」という建築士・鶴田さんの一言で再考。視界のノイズを減らしたことで、より一層のびやかな印象が生まれた
住宅地で映える漆黒
黒で統一した、潔くスタイリッシュな佇まいの外観。玄関まわりには、セメントの素材感を活かした建材をアクセントにした
「職人の手仕事」という作品
テレビコーナーのデザイン壁は、構造上必要だった耐力壁を活かしたもの。背面の珪藻土の塗り壁が、職人の手仕事によって想像以上に美しく仕上がったため、そのまま「作品」として見せることに。夜は間接照明がその陰影を際立たせ、昼間とは違う表情を映し出す
夫婦で立てる広々キッチン
夫婦二人が並んでも、ゆったりと作業できる広々としたキッチン。クロス仕上げの予定だった折下げ天井は、鶴田さんの提案で本物の木に変更。リアルな木の質感が加わることで、空間にぐっと奥行きと温かみが生まれた
キレイを保つ意識
キッチンからリビングへ視線が抜ける、一体感のある眺め。カウンターにはほどよい透け感のある素材を選び、空間に軽やかさをプラスした。「あえて手元が見えるフラットなものにすることで、きれいに保とうという意識が働きます」と夫人。デザインが美しい暮らしの習慣を育む
本のための家づくり
2階フロアに設けた夫婦の書斎スペース。廊下にはタモの集成材で造作した、壁一面の巨大な書棚が広がる。本のサイズに合わせて棚の高さを調整し、背表紙が美しく並ぶように設計。直射日光を避ける配置で、大切な蔵書を日焼けから守る配慮も。読書やPC作業に使えるカウンターも備えた、本好きにはたまらない空間だ
背中合わせの心地よさ
夫婦の書斎は背中合わせのデスクと、シンメトリーに配置された壁一面の書棚が美しい。機能的でありながら、凛とした空気が漂う。「本をたくさん置きますよね?」という鶴田さんの何気ない一言から、このプランは生まれた。夫婦の暮らしを深く理解した、プロならではの提案に、夫人は深く感動したそう
こもり感も開放感も、思いのまま
仕事に集中したい時は、書斎の扉を閉めて、完全に独立した個室に。空間に軽やかさと奥行きをもたらすスケルトン階段は、その先にあるロフトへとつながる。オンとオフ、こもり感と開放感。そのどちらも、この場所は叶えてくれる
一生モノの洗面室
「一生に一度の家づくりだから」。そんな想いを込めて、洗面室もパーツ一つひとつにまで、とことんこだわった。TOTOの洗面台に、時間をかけて選んだタイル、そして持ち込んだお気に入りの照明。シンプルながらも夫人の美意識が隅々にまで宿る、特別な空間だ
境界線をなくして、非日常感を演出
トイレの床には隣の洗面室と同じタイルを。空間を床でつなげることで一体感が生まれ、まるでショップのような雰囲気に。壁の奥には掃除道具などを隠せる収納も完備。生活感を見せないデザインのこだわりが光る
夢の漫画ミュージアム
14.5畳という広大なロフトを、まるごとライブラリーにしてしまう。本好きにはたまらない贅沢な空間だ。壁一面の可動棚には、愛蔵のコレクションがずらり。趣味の部屋としてだけでなく、来客時の寝室としても使える、実用性も兼ね備えた場所
ジムにもなるクローゼット
家族用の玄関を入ってすぐの場所に、ファミリークローゼットを配置。帰宅したら、ここでコートを脱ぎ、バッグや帽子をしまう。この「ただいま動線」のおかげで、散らかりづらい住まいに。天井に設けた懸垂バーは、Tさんとお子さんのための、ちょっとした健康スペース
しっとり落ち着く、和空間
モダンな趣に包まれた、静かな和室。天井にはざらりとした質感のクロスを、壁には珪藻土を使い、素材感を楽しむ。地窓から差し込む障子越しの柔らかな光が、しっとりと落ち着いた陰影を落とす。大容量の吊り収納には、夫人の大切な着物がしまわれているそう
見えないシャッター
広々としたウッドデッキは、家族のアウトドアリビング。当初、窓の視界が狭くなることを懸念してシャッターの設置を迷っていたそう。しかし、「精神的な安心のために」という鶴田さんの後押しと、視界を遮らないスマートな収納プランの提案を受け、設置を決意。デザインと安全性を、見事に両立させた
フェンスの奥は秘密の庭
住宅街でひときわ目を惹く、シャープでモダンな外観。2階バルコニーのアイアン手すりが、クールなアクセントになっている。道路に面した木製フェンスの奥には、広々としたウッドデッキが。外からの視線を完全に遮断するため、プライバシーを気にすることなく、家族だけの時間をのびのびと過ごせる