「この部屋はこう使う」なんて、決まりきったルールがないおうち。
家じゅうがひとつの大きな遊び場で、気分しだいで「お気に入りの場所」が毎日変わっていく。
子どもたちがのびのびと、ありのままに過ごせる、そんな最高に自由な住まいが生まれた。
2階リビングの主役は、あえて何も置かない、だだっ広い「余白」。
このスペースが、子どもたちの想像力で七変化!
ある時は家中を走り回るサーキット、またある時はサッカーコートに。
ゴロゴロするだけでも、なんだか楽しい。
そんな自由な空間に美しい光を落とすのが、階段の木製格子。
緻密に計算されたデザインの格子を通した光が、
白い壁や床にやさしい模様を描き出す、自慢のアート作品だ。
ほかにも、楽しい「居場所」は家じゅうにいっぱい。
窓際のベンチがカフェになったり、家事室がアトリエになったり、階段はジャンプ台に早変わり!
リビングと同じフロアにある書斎も、家族の気配を感じられる特等席。
今日はどこで遊ぼうか?なんて、毎日が宝探しのようだ。
間取りに暮らしを合わせるのではなく、家族が家の使い方を自由に育てていく。
この大きなステージで、これからもたくさんの笑顔が輝いていくだろう。
デコボコを覆ってフラットに
吹き抜けが心地よい開放感をもたらす2階リビング。梁や柱が主張する「デコボコ」した天井はあまり好みではなかったとSさん。その想いを汲み、建築士の上野さんは、あえて構造を覆い、すっきりとフラットな天井に仕上げた。窓際の造作ベンチも、足の太さや収納の幅まで、何パターンもの図面を描いて検討したというこだわりの一品
ルールを、デザインで超える
法規上、どうしても必要だった階段の手すり。しかしSさんのアイデアは、その制約を軽やかに飛び越えた。選んだのは、手すりを兼ねる木製の格子。それは子どもたちにとっては格好の遊び場となり、リビングにとっては光と影の美しいオブジェとなる
長いアプローチの奥に・・・
旗竿地という条件を、見事に魅力へと昇華させた長いアプローチ。都市の喧騒から、家族だけのプライベートな領域へと誘う、静かなトンネルのようだ
白は最高のキャンバス
ご夫婦の要望で白を基調とした空間に。打ち合わせやシミュレーションを重ね、あえてアクセントカラーを使わない、現在のデザインにたどり着いた。このシンプルな白い壁が、Sさんとお子さんが描いたカラフルな絵を、まるでアートのように引き立ててくれる
パントリー、ときどき、みんなの部屋
アーチでゆるやかに区切られた、パントリー兼家事室。もともとは夫人専用のワークスペースの予定だったが、今ではお子さんが宿題をしたり、おやつを食べたりと、家族みんなが使うマルチな空間に。暮らしながら、家の使い方も成長していく
ホテルライクな日常
ホテルのようにシンプルで洗練された洗面室。大きな掃き出し窓から、爽やかな光と風がたっぷりと入り込む、心地よい空間だ。窓を開ければそのまま庭へ出ることも。洗濯物を干したり、外遊びで汚れたお子さんをすぐお風呂に入れたりと、暮らしやすさを考え抜いた動線設計
死角なし、隙間なし
洗面室の死角になりがちなスペースも、天井までの壁面収納に。市販の収納ボックスが隙間なく、まるでパズルのようにぴったり収まるよう、棚のサイズをミリ単位で調整した。計算し尽くされた設計が、生活感を感じさせないアートのような佇まいを生み出す
“ぴったり”のための、設計
リビングに隣接するSさんの書斎。壁際には、既製品の本棚がまるで造作のようにぴったりと収まる。扉の幅をミリ単位で調整したという、細やかな設計の賜物だ
ぜんぶ、見える場所に
お子さんの衣類やおもちゃをしまうのは、あえて扉をなくしたオープンなクローゼット。どこに何があるか一目でわかるので、「あれどこ?」と探す時間がなくなった。扉をなくす、という引き算のデザインが、暮らしやすさを格段にアップさせる
コストを抑えてオリジナル感を演出
玄関まわりは、白で統一し、明るく清潔感のある印象に。壁一面の収納は、実は既製品を巧みに組み込んだもの。コストを抑えながらも、まるで造作家具のような美しい仕上がりを実現した。たっぷりの収納力で、いつでも整然とした玄関をキープできる、賢い選択だ
光が伸びる長い廊下
家の奥へとまっすぐ伸びる、美しい廊下。温かみのある木の床と、無機質な玄関土間。異なる素材を組み合わせることで、シンプルながらも表情豊かな空間を演出。壁に掛けた小さな丸い鏡が、優しいアクセントになっている
高さが、広さを生む
トイレは上野さんの提案で、壁の高い位置に横長の窓を設けた。視線が自然と上へと誘導されることで、実際の面積以上の視覚的な広がりを感じさせる
スペックもさぼらない
外観デザインには特にこだわりがなかったというSさんだが、シックなグレーの色合いがとてもおしゃれ。高耐震+高気密・高断熱の住環境が備わった、長期優良住宅の認定を受けている