建築実例

家族が自然と集まる「幸福のアイランドキッチン」

2人の子どもが成長して少し手狭になり、住んでいた中古の一戸建てを住み替えることにしたKさん家族。子どもたちが自由に走り回れるように、下の階が気になるマンションはなし。気に入った土地に出会えたこともあり、みんながのびのびと暮らせる注文住宅に決められた。夫人がもっともこだわったのは“みんなで一緒に料理ができるキッチン”。1人背中を向けて料理や片づけをするのではなく、家族が参加するプランに、とのことだった。「建築士の鶴田さんにおすすめされたグラフテクトのキッチンは、スタイリッシュなデザインが好み。最初はベーシックなペニンシュラ型を考えましたが、結局掃除がしやすそうなアイランド型にしました。これが大正解で、広い作業台を使って親子で餃子を包んだり、子どもが野菜の皮むきを手伝ってくれたり・・・。自然とみんなが集まるようになりました」と夫人。ぐるぐる回遊できる動線や、洗浄力に優れるミーレの食洗機、大容量のパントリーなど家事ラク面も申し分なし。憧れの料理研究家のキッチンをイメージしたウォールラックには、お気に入りの道具やかごをセンス良く並べた。またキッチンとひと続きのリビングは、大開口でつながる庭やスケルトン階段、東側のピクチャーウィンドウから陽の光が取り込まれ、この上ない開放感を実現。こちらも家族が希望する「明るくて風通しがよい空間」を見事に叶えている。

家族構成 夫婦+子供2人
価格帯 2000万円前半
所在地 東京都三鷹市
延床面積 82.69㎡(25.0坪)
敷地面積 103.50㎡(31.3坪)
竣工年月 2021年3月

担当
鶴田 慎一郎

「白をベースに」というシンプルなオーダーから、鶴田さんが描いた外観。レモンの木をはじめ好みの植物をバランスよく配置し、デザインの一部に。広めに確保した庭は、子どものプール遊びや家庭菜園に最適。テレワークの合間にちょっと手入れをしたり、よい気分転換になっているそうだ。外から帰ってきた子どもたちは、庭で育ったピーマンやオクラを収穫してそのままパクリ。普段のおやつにしてはなかなか贅沢だ
モルタルのような質感がたまらない、GRAFTEKT(グラフテクト) のキッチン。作業スペースが2か所あり、さらに家族みんなが行き来しやすいアイランドタイプを選んだ。濃い目のグレーは少し挑戦だったが、ナチュラルなLDKの主役として空間をぴりっと引き締めてくれる
リビング階段とそれを魅せる大きなピクチャーウィンドウは、鶴田さんの提案。座った時に外と目線が合わないよう高さも調整している。もう少し外の植栽が大きく育ったら、よい目隠しとなって1日中ブラインドなしで過ごせる予定だ
においに敏感なKさんは、消臭効果のある珪藻土の壁と、24時間換気システムを採用。「オープンな階段を伝って、食事のにおいがそのまま2階の寝室に流れるのがイヤだったんです。1階からの臭気は階段上部に設置したエアーカーテンで遮断。汚れた空気を外へ逃がし、綺麗な空気を外から取り込む。吸気と換気の通り道を人工的に作ることで、家じゅう爽やかな空気に包まれます。焼き肉をした翌日も、ぜんぜん気になりませんよ」
たっぷりの光と風が通り抜けるスケルトン階段は、存在感はありつつも圧迫感はゼロ。木とアイアンを組み合わせた、シンプルで飽きのこないデザインだ
背が高いKさんに合わせて、カウンターの高さを微調整。キッチンだけ床をタイル張りにして、リビングダイニングとゾーン分けしている。コンロ台とフラットにつながる木製カウンターは造作したものだ
造作のウォールラックは、夫人が好きな料理研究家のキッチンをイメージしたもの。お気に入りの道具やカゴを、ギャラリー感覚で自由に飾れるのが楽しい。シンプルなL型の棚受け金具は、夫人がネットで探して購入。細部まで妥協せずきちんとこだわった。ちなみにこの金具、同社で今後ウォールラックを希望される方に提案していく予定だとか。1人のお客さまから、このように新たなスタンダードが生まれることも珍しくない
2階の洋室は、いずれ6畳と4.5畳の子ども部屋にセパレートが可能。現在は家族みんなの寝室や夫人のテレワークスペース、子どもたちの遊び場など、マルチに使うことができる。固定階段で小屋裏収納にアクセスできるので、荷物の出し入れもラクラク
部屋ごとのクローゼットをなくし、全員の衣類をしまえるファミリークローゼットを1つだけ。洗濯物をしまう場所を1か所に集約することで時短家事を叶えている。「以前住んでいた3階建ての家は、1階、2階、3階とそれぞれに収納スペースが分かれていて大変でした」と夫人。こちらは3畳ほどの広さがあり、衣類だけでなくスーツケースやホットカーペットなどの期間限定アイテムも余裕でしまっておける
洗面台やアクセントのタイルなどは、すべて夫人が購入されたもの。標準仕様の枠にとらわれず、気に入った部材や設備などを自由に持ち込めるのも、同社を選ばれた理由だ。新居とともに導入したガス乾燥機は、洗濯の負担を大幅に軽減。家族4人分のシーツと枕カバーも一気に乾くそうだ
「既製のシューズボックスだと、靴のつま先が出てしまって扉が閉まらない。けれど斜めに入れるとデッドスペースが生まれてしまう・・・」と、サイズの大きいKさんに合わせて奥行きを調整した収納スペース。ロールスクリーンで全部隠すこともでき、さらに床を見せることですっきりとした印象に
木をそのまま切り出したような素朴な風合いの手摺りも、家族が購入して持ち込んだもの。細かいパーツ1つにもこだわっている
スケルトン階段を美しく切り取るピクチャーウィンドウが、外観デザインに彩を添える

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