小さなお子さまがいるとは思えない、生活感がなく整然としたLDK。モノトーンで統一した落ち着いた佇まいは、モダンなホテルを彷彿させる。なかでも圧倒的な存在感を放つのが、LDKを貫くスケルトン階段。たっぷりの光に満ちた白くまぶしい空間に、鉄骨階段のマットな黒。そのコントラストがとても美しい。“LDKの真ん中に階段”という大胆なプランは、建築士の三浦さんのアイデア。(少し住みづらくないかな?)当初、夫人は不安だったが、実はこのプランこそ住み心地アップのカギだという。「夫人のご希望は“生活感を隠せるたっぷりの収納”。延床面積が約25坪と限られたサイズですが、スペースを取られる階段を居住空間にデザインすることで、2階フロアに余白が誕生。その分を収納に充てることができます」と三浦さん。写真をご覧いただくとわかるが2階の通路は壁一面が収納になっており、布団や衣類、細々したものもすべてすっきり。LDKに配置した階段もデザイン性を高めつつ、リビングとダイニングをゆるやかにゾーニングするなど機能面でも貢献している。既成概念にとらわれないアイデアで、限られた面積でも大容量の収納を作れると証明したHさん邸。都内に多いコンパクトな土地で家づくりを考える方は、きっと参考になるはずだ
2階フロアを広く確保するため、LDKの真ん中に鉄骨階段を配置。これほどの迫力でも窮屈に感じさせないのは、光と風が通り抜けるスケルトンタイプだから。白い背景に美しい黒が映える、シンプルモダンな空間だ
室内の雰囲気に合わせて外観もモノトーンに。バイカラーの黒と白を上下でどう配置するか悩んだそうだが、結果、青空に映える「黒」を上にして大正解。セキュリティのために道路側の1階は窓をなくし、採光は他のアイデアでカバー。準防火仕様で安全面にも配慮している
テレビの背面はエコカラットをアクセントに。デザイン性はもちろん、湿気対策にもなって隣が水まわりでも安心だ。テレビは壁掛け式にして収納も吊式に。ネットの基地も兼ねており、配線関係をすっきり収めた
「天井が高いと、想像力が高まると聞いて・・・」とHさんがオーダーした圧巻の吹き抜け。隣家の借景が美しい庭は、LDKの床と雰囲気が近いタイルデッキを敷いてバルコニーにする予定。子どものプールを出したり、夫婦でお酒を飲んだり、楽しみ方はいろいろ。中と外が緩やかにつながる、心地よいアウトドアリビングになるだろう
家族のコミュニケーションを育み、つながりを深めるリビング階段。構造上どうしても必要な梁は、壁と同じクロスで覆って圧迫感が出ないよう配慮。カーテンなしでもプライバシーが守られるすりガラスの窓は、光が室内に乱反射し、より明るい空間を演出してくれる
「タイルだと冷たいし、木目のフローリングだと傷が目立つし・・・」という悩みを受け、三浦さんが提案したのはモルタル調の加工が施されたパナソニックの床材。室内のモダンな雰囲気とも相性が良く、木製なので足触りも抜群。床暖房にも対応しており、冬でもぽかぽか過ごせる
シックなテイストを希望された夫人に、ヴィンテージっぽい質感のGRAFTEKT(グラフテクト)のキッチンを提案。インテリアのようにオシャレで、いつも綺麗を保ちたくなる。ミーレの食洗機やたっぷりの背面収納など、使い心地も申し分なし
2階の通路部分。LDKと同様、白を基調にまとめた明るい空間
2階通路はすべて収納に活用。1.布団もしまえる押入れタイプ 2.毎日1冊の本を読むHさんの本棚 3.おもにHさんの衣類をしまうクローゼット 4.夫人の衣類やバッグなど、たくさんのファッションアイテムが収まるファミリークローゼット・・・この限られた空間に、4つの収納スペースを確保した
入った瞬間、吹き抜けの開放感に包まれる玄関ホール。地窓から光を取りこんで足元も明るく。夜になると間接照明が幻想的な雰囲気を演出し、まるでギャラリーのよう
扉を全開すると、靴やベビーカーなどがすっきり収まるシューズクローク。正面のクローゼットはスーツケースや掃除機をしまえる大容量サイズだ
勾配天井でほどよくこもり感が生まれ、ぐっすり眠れそうな寝室。無駄をそぎ落としたシンプルな空間がよい
スタイリッシュでモダンな雰囲気がお好みのHさん夫婦。クロスや建具、設備などもモノトーンで揃え、ホテルライクな印象に