建築実例

ビンテージ×インダストリアルな自宅バー

訪れた友人たちが「これは…」と一瞬息をのむ、強烈なインパクトのバーを自宅に作ってしまったTさん夫婦。リラックスムードを演出するライティングや、天然素材やユニークなクロスでまとめた内装デザイン、ビンテージ感あふれるインテリアの数々など。その完成度の高さに最初は少しそわそわするが、あっという間に数時間が経過。ついついまったりと、長居したくなる心地よさである。T邸は「住めるバー」というコンセプトのもと、夫婦みずからプロデュースした住まい。2人揃ってクリエイターというだけでなく、Tさんにいたっては図面をおこせるほどの圧倒的な画力。徹夜でラフイメージを作る夫と、それに赤入れしたり要望を企画書としてまとめる妻。お互いの得意分野を活かしながら、イメージをより鮮明にしていったという。「最初は注文住宅なんて考えていませんでした。けれど土地探しでお世話になった不動産屋さんに、『きっとイチから作る方が、お二人には合っていますよ』と勧められて・・・案の定でしたね(笑)。モノを作る仕事をしているせいか、この家も自分の作品のような感覚です。一番のお気に入りは、やっぱりこのバースペース。ふつうに食事をしたりお酒を飲むだけでも非日常感があって、何でもない日が特別に感じられます」と語る。

 
家族構成 夫婦+愛猫2匹
価格 2000万円台
所在地 東京都三鷹市
延床面積 89.77㎡(27.1坪)
敷地面積 116.92㎡(35.3坪)
竣工年月 2021年2月

担当
鶴田 慎一郎

ダイニングキッチンは、夫婦のこだわりをつめこんだバースタイル。構造上動かせない柱の位置を基準に、アイランドキッチンのプランをTさん自身で描かれた。機能とデザインを兼ね備えるGRAFTEKT(グラフテクト)のカウンターキッチンは、ビンテージ感あふれる錆びた鉄のようなカラーを選択。作った料理をそのまま出すことができ、さらに料理が映えるという効果も。鶴田氏の提案で階段下のスペースはあえて空けたままにして、来客用のハンガーラックを置くスペースに
鶴田氏の提案で取り入れたタイルが空間を美しく彩る。玄関やリビングへのアクセスがラクな回遊動線や、毎日の後片付けから解放される食洗機など、共働き夫婦の時短家事をかなえる工夫も随所に
照明はそれぞれの空間にあわせて、すべて自身で選ばれたもの。直接照らすだけでなくいちど壁に反射させて光をやわらかくするなど、リラックス効果を高める演出も。ナチュラルカラーの床材は、愛猫の爪にも強い固めの素材
いずれ設置するテレビの背面は、一部分だけ真っ黒な外装材を貼ってアクセントに。黒いクロスにあえて異素材の黒を重ねることで、趣きが生まれた。3つ並んだFIX窓の桟も空間にあわせて黒を選択。白い壁に浮かび上がる3本ラインがとてもユニークだ。右側に配置したTさんのワークスペースも、リビングに違和感なく馴染んでいる
キッチンの真後ろに、扉で仕切られたパントリーを設置。棚板の高さなどもあらかじめ計画し、スペースを無駄なく活用した。大きな荷物から細々としたモノまで、すべてすっきりと収納できる大容量サイズ
サブウェイタイル風のクロスをあしらった、ホテルライクな洗面コーナー。自由にモノを広げられるワイドな洗面台や、足元が開いたデザインも掃除がしやすいと好評だ。パントリーや水まわりを1か所に集約したことで家事動線がスムーズに
鶴田氏の提案で、玄関はちょっと腰かけるのに便利なベンチを造作。扉の正面にはたっぷりの靴をしまえるシューズボックスも備えている
2階の寝室。右の奥に備えた造作カウンターは夫人のテレワークスペース。吹き抜けから1階をのぞくと、仕事中のTさんの姿が確認でき、上下階でコミュニケーションを取ることができる
寝室の奥は納戸につながる。こちらは夫人の趣味スペースであり、愛猫のプライベートルームでもある。パソコンで作業したり本を読みながら、つねに2匹を見守ることができて安心だ。吹き抜け部分に取りつけた小窓は、モデルハウスのアイデアを参考にした
2階の洗面所はテイストが異なる2種類の黒いクロスをミックス。ビンテージ風の鏡と照明が、シックな空間によく映えている。ふだん洗面台の下は猫グッズをしまうスペースとして活用
ホテルライクな1階のトイレ。こちらも2種類のクロスを織り交ぜ、シンプルながらも個性的な空間に
ふだん使わない来客用の個室さえも、木をユニークにあしらった個性的な空間に。家じゅうすみずみまで妥協しない、夫婦のこだわりが垣間見える
旗竿地をうまく活用し、2台の駐車スペースを確保したT邸。マットな黒のサイディングがおしゃれで、本物のバーのような佇まいだ。外観が凸凹になる庇やベランダが好きではないため、標準仕様から排除。このような柔軟な対応もタインデザインではよくあることだ

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