「リモートワークが始まって、子どもたちに部屋を作ってあげたいと思ったのがきっかけです」。
当時をそう振り返るYさん夫婦。
それまで住んでいたマンションが手狭になり、家づくりをスタートさせた。
建築士の鶴田さんが提案したのは「みんなの気配を感じられる家」。
夫婦が寛いでいる2階LDKと、お子さんの遊び場であるロフト。
その二つは吹き抜けで繋がっていて、笑い声が聞こえるのはもちろん、
静かに本を読んでいる時でも互いの気配を感じられる。
宿題をする時はLDK隣接のスタディースペースや、パパの書斎。
行き詰っている様子なら、少しだけヒントを出してあげたり、
いつも間近で成長を見守ることができる。
「鶴田さんは建築士であると同時に、子育ての先輩。
その両方の視点から、たくさんアドバイスいただきました」と夫人。
この家のもう一つの特徴は、未来を見据えた「可変性」。
今は離れて暮らす親御さんとの同居も視野に入れ、
車椅子でも2階へ上がれるよう、また1階にもLDKを作れるよう設計されている。
今の家族にも、10年後、20年後の家族にも優しい。
Yさん邸は、そんな時間軸をも超える住まいなのだ。
素材で心地よさもデザインする
家族が集う2階のLDKは14.7畳。勾配天井を活した吹き抜けと天窓が、数字以上の広がりと開放感をもたらす。壁にはにおいを軽減する珪藻土を、床には床暖房対応のチェリー材をと、一つひとつの素材にも家族が心地よく暮らすためのこだわりが詰まっている
共働き夫婦の味方
Yさんがこだわって選んだ外壁の色は、深みのある絶妙なグリーン。暗い印象にならず、汚れも目立ちにくいのが特徴だ。白いサイディングとの組み合わせも美しい。玄関ポーチには、共働き夫婦の暮らしを助ける、食材宅配サービス用の置き配スペースもあらかじめ確保した
家じゅうまるごと遊び場に
LDKとロフトは大きな吹き抜けを介してゆるやかにつながる。お子さんの友達が遊びに来た時には、リビングとロフトを行ったり来たり。家全体が子どもたちの楽しそうな声に包まれる
“抜け感”という提案
キッチンはほどよく独立性を持たせた落ち着きのある空間。鶴田さんが提案した木とアイアンの吊り収納は、夫人のお気に入りだ。「視界を遮らない“抜け感”のあるデザインで、しかも格好いい。さすがの提案です」と、そのセンスに全幅の信頼を寄せる
仕切れる大空間
LDKの一角にあるスタディースペースは、ロールスクリーンで仕切ることで5.5畳の半個室に早変わり。普段はLDKと一体の開放的な空間として、集中したい時だけ仕切って使う。吹き抜けのリビングとは対照的に、こちらは天井高を抑えているため、ぐっと集中できると夫人も満足そう
夫婦の夢が詰まったホームバー
LDKの一角には鶴田さんと何度もプランを練ったというバーカウンター。お酒好きなご夫婦がほっと一息つく場所だ。「将来的には照明にもこだわって、ここを“大人バー”にするのが夢なんです」と、夫人は楽しそうに語る
階段ライブラリー
階段の壁には夫人のリクエストで大きな書棚を造作。ライブラリーも兼ねたこの階段は、お子さんたちのお気に入りの場所だ。好きな本を手に取って、そのまま腰掛けて読書タイム。家じゅうに思い思いの読書スペースが生まれている
ハンモックに揺られる秘密基地
広さ6.2畳のロフトは、家族のもうひとつのリビング。ここだけ床材を個性的な木目のイタヤカエデに変え、特別な空間を演出した。3つの窓は夏の熱気を効率よく逃がすための換気窓で、デザインと快適性を両立させる工夫
夏の夕涼みはここで
東西に風が心地よく吹き抜ける、広々としたテラス。隣家からの視線を遮りつつ、開放感も得られる絶妙な高さで設計されている。夫人は「周りを気にせず、夏はここで夕涼みを楽しみたいです」と話す
“自分でできる”が増える場所
洗面室の収納は、階段下のスペースを無駄なく活用。夫人は「子どもたちが自分で服を取り出してくれるようになりました」と、この収納が自立を促す効果も実感している。鶴田さんの提案で鉄骨屋さんが作ったという黒いアイアンバーは、カーテンレールと物干しを兼ねる、デザイン性と機能性を両立した優れものだ
冒険できるウォークイン
家族4人分の日常着をまとめてしまえる、大容量のファミリークローゼット。毎日使う場所だからこそ、洗面室に隣接させて衣類の移動をスムーズにした。プライベートな空間だからと、思い切って選んだ明るいボタニカル柄のクロスも気分を上げてくれる
家に入った瞬間、さわやか
「玄関は広い方がいい」という鶴田さんのアドバイスで、ゆったりと確保した玄関スペース。アーチの奥のオープンな棚と、ロールスクリーンで隠せる棚、2種類のシューズクロークを設けた。夫人は「においや湿気がこもらないよう、珪藻土の壁と扉のない棚に。息子がサッカーで汚れて帰ってきても、においが気になりません」と、その効果に大満足
朝の光をテラスから
1階の洋室はゲストルームや将来の寝室として使うことも想定したフレキシブルな空間。テラスとひと続きになっており、カーテンを開ければ外へと視線が抜けて、広がりを感じられる。落ち着いたブルーのアクセントクロスが、心地よい眠りを誘う
ゲストのためのおもてなし
玄関からLDKへ向かう動線上には、ゲスト用のコンパクトな手洗いを。こだわりのタイルや照明で、おもてなしの気持ちを表現した。家族が使うプライベートな洗面室と使い分けることで、いつでも気兼ねなく使ってもらえる
未来のための引き戸
1階のトイレは、将来の暮らしやすさを考えて、開閉時にスペースを取らない引き戸を採用。空間そのものはシンプルにまとめながらも、足元にはヘリンボーン張りの床を。さりげないアクセントが、日々の暮らしに彩りを添える