賃貸マンションでの1LDK暮らしから、お子さんの誕生を機に始まったMさん夫婦の家づくり。
戸建て一択で建売や中古も見学したが、理想には届かない。
「私たちの少し特殊な要望を叶えるには、注文住宅しかありませんでした」と夫人は語る。
特殊な要望とは、4台の自転車の室内保管と、大量の本をしまえる大きな本棚。
以前の住まいは防犯面から自転車を仕方なくリビングに置いていたが、
それは「迫りくる自転車」と夫人が表現するほどの圧迫感だったそう。
加えて「大きな家具を買うのが苦手」なご家族にとって、家じゅうに散らばる本も悩みの種だった。
「どちらも面積が必要なご要望。いかに空間を有効活用するかが鍵でした」
と話すのは建築士の三浦さん。
その答えは、駐輪場を兼ねる広い玄関土間と、壁一面の大きな造作本棚だった。
玄関を開ければ愛用の自転車がすっきりと収まり、もうリビングを圧迫することはない。
本棚には、夫人の蔵書だけでなくお子さんの絵本やおもちゃも。
どんなモノでもストレスなく放り込める、家族みんなのライブラリーである。
注文住宅だからこその、夫婦のこだわりと好きが詰まった住まいが完成した。
未来を見据えた採光計画
LDKの特徴は勾配天井とたくさんの窓。「明るさを確保しつつ、将来お隣に家が建つ可能性も考慮して、窓の大きさや数、配置を計算しました」と三浦さん。プライバシーと採光を両立させるプロの視点が光る設計
デザインも、性能もあきらめない
爽やかな白い外壁はガルバリウム鋼板。デザインが好みなだけでなく、メンテナンスフリーで耐震性が向上する点もお気に入りの理由。木の扉と庇がパキっとした白によく映える
好きが映えるシンプルなキッチン
白が基調のシンプルなキッチンは、床のオーク材との相性も抜群。こだわりのキッチン道具や雑貨たちが映える空間だ。料理中にさっと調味料を取り出せるスパイスニッチには夫人も大満足
なんでもしまえる魔法の本棚
本やおもちゃを気兼ねなくしまえる壁一面の造作本棚は、三浦さんの渾身の作。奥行きが深めで抜群の収納力だ。まだまだスペースには余裕があり、夫人は「これから何を飾ろうか考えるのも楽しい」と微笑む
光の中で朝ごはん
上下に並んだ窓から爽やかな光が差し込むダイニング。気持ちのいい朝日を浴びながら一日が始まる。自然光に包まれた明るい食卓では、自然と会話も弾みそう
キッチン隣の書斎
キッチン横には夫人のためのワークスペースを。扉ではなく木のルーバーで緩やかに仕切ることで、家族の気配を感じながらも仕事に集中できる。キッチンでお湯を沸かしながらメールをチェックしたり、「ながらワーク」も可能だ。将来はお子さんの宿題コーナーにもなる多機能な空間
自転車4台のガレージ
L字型の広い玄関土間は駐輪場としても活用。趣味の自転車4台がすっきりと収まる。壁際の地窓からはやわらかな光が差し込み、自転車が並んでいても圧迫感を感じさせない
暮らしと共に、間取りも育つ
寝室は壁ではなく可動式の扉で2つの空間にセパレート。扉を開け放てばひとつの大きな部屋、閉めれば独立した個室が2つ生まれる。今は広い寝室として使っているが、将来は子ども部屋にするなど、家族の成長に合わせてアレンジできる
忙しい朝も、きちんと見守れる
バスルームと洗面室は、家族が集まるLDKに隣接して配置。お風呂上がりの着替えなども、リビングと一体で使えるので便利だ。「朝はここで化粧をしながら、リビングで遊ぶ子どもの様子を見守れるので安心です」と夫人
暮らしに寄り添うもう一台の洗面
1階の廊下には家族のための手洗いスペースを造作。すっきりとしたデザインで、掃除がしやすいのも嬉しいポイントだ
トイレの前に小さなギャラリー
すっきりと清潔感のあるトイレ。その入口の壁には、好きな雑貨や季節の植物を飾れる小さなニッチを設けた。ゲストの目も楽しませてくれる、ささやかなおもてなしの空間だ