近所の賃貸マンションに住んでいたSさん家族。お子さんの誕生やテレワーク導入で少し手狭になり、マイホームを計画された。杉並の旗竿地を購入したSさんのオーダーは、家族がのびのびと過ごせる2階リビング。そこで建築士の山村さんは、太陽の動きに合わせた効率的な採光、家族のプライバシー保護、隣家の緑を活かす借景など、さまざまなアイデアを組み合わせ、「立地の長所を引き出し、短所を補う」プランを考案。また勾配天井や、光や風・家族の視線を通す「抜け」を取り入れ、より明るく、より開放的な空間に仕上げていった。内装のデザインや、カラーコーディネートはSさんの意見を採用。普段デザイナーをされているだけあって、細部へのこだわりやセンスは見事だ。他にもアウトドアリビングになるバルコニーや、外の景色を眺めながら料理できるキッチンなど、わくわくする要素は満載。子どもは元気に走りまわれて、大人はゆったりと寛げる、そんな心地よい空間が完成した。「以前の家は1LDKだったので、テレワークのスペースがなかなか確保できませんでした。常に子どもが近くにいるので、WEB会議中に泣き声が入ってしまったり、時には飛び入り参加をしてしまったり・・・。現在は、外から帰ってきたら『ただいま』と私の書斎に来てくれますが、すぐにLDKや他の部屋に遊びに行ってしまいます。少し寂しくはありますが(笑)、以前より楽しそうで何よりです」と話す。
グラデーションでかっこよく
色のつながりを意識しながら、数種類のクロスを組み合わせている。また右側の濃いグレーのクロスには黒い巾木、左側のグレーベージュのクロスには白い巾木、と細部にもこだわった
住宅地に建つ黒い箱
シックな黒いサイディングに、扉の木質感が映える外観
斜めの天井はのびのび
手前のキッチン側は板張り天井に。リビングは山村さんが提案した勾配天井によって開放感が生まれている
圧迫感をなくしたキッチン
インテリアと自然に馴染んでいるキッチン。シンプルで使いやすく、料理担当のSさんも大満足だ。奥に大容量のパントリーを備えているので、背面収納はなくしてすっきりとした作りに
料理や片付けも豊かな時間に
キッチンの正面はバルコニーなので、ブラインドを開けると、外の景色を楽しみながら料理や後片付けができる。バルコニーは「夏になったら絶対ビールを飲みたい!」と夫婦がこだわったスペース。日差しが強い時は、日除けのタープを付けられるようにもなっている
扉がなくてもきちんと隠れる
キッチン併設のパントリーには食器から食材まですべて収納。日々の使い勝手を考えてあえて扉をなくした。「お客さんに中を見られたくないな・・・」と当初は不安だったそうだが、窓を作っていないので、照明をつけなければリビングからはほぼ見えない
クローゼットで冒険を
ポップなクロスを組み合わせたファミリークロゼット。「物がいろんなところに散らばって、探しづらいのが嫌」という夫人のオーダーに応え、衣類だけでなく家じゅうの物を集約できるようにした。廊下と寝室の2か所からアクセスできる回遊動線なので家事ラクにも繋がる
ぎっしりが絵になる
夫婦共にたくさんのスニーカーをお持ちなので、たっぷり収納できるシューズクローゼットは必須。ロールスクリーンを閉めてすっきりと隠すこともできる
心地よい職住一体
Sさんがテレワークをする書斎。造作カウンターは、いずれお子さんも並んで使えるサイズだ。もともとは4畳ほどの予定だったが、Sさんが山村さんに耳打ちしながら徐々に広げていき、最終的には5畳を獲得したそう(笑)
洗濯物はやっぱり外に干したい
「洗濯する、干す、しまう」が一か所にまとまった洗面室。こちらもバルコニーに面しているため、いつもカラッと爽やかな空間を保つことができる
身につく手洗い習慣
帰宅したらそのまま手洗いができるよう、玄関にコンパクトな洗面ボウルを設置した
この“おこもり感”が集中できる
階段下を活かした収納スペース。窓と造作カウンターを設けているので、小さな書斎としても使える。週に一度、夫人はここでテレワークをしているそう
かっこいいピンク
広い部分はグレーやブラックでシックにまとめつつ、トイレはピンクで遊び心をプラス。個性的だけど飽きない「可愛すぎない」ピンクがポイント