建築実例

「楽しい仕掛け」がある家

ヴィンテージの家具に、カラフルなアート、子どもたちの元気なおもちゃ。

家族の「好き!」がぜんぶ主役になれる、真っ白なキャンバスみたいな住まいが生まれた。

 

こだわったのは、選び抜いたインテリアが素敵に映える空間づくり。

その想いを叶えるため、壁は潔いほどの「白」で統一した。

これならどんな雑貨もアートのように引き立ち、将来、好みが変わっても大丈夫。

リビングにはお気に入りの飾り棚を設え、家族だけの小さなギャラリーを楽しんでいるのだとか。

 

ご夫婦が願った「開放感」も、楽しい仕掛けで叶えている。

コンパクトな吹き抜けや、リビングに奥行きをくれるプライベートな庭、

空間にリズムを生む床の段差。いくつもの工夫が重なり合って、

実際の面積よりもずっと広く感じる、気持ちのいい空間が広がる。

 

この家の面白さは、暮らしのアイデアにも溢れている。

例えば、LDKの一角に洗面コーナーを配置。「え、ここに?」なんて常識はここでは通用しない。

メイクをしたり、お子さんの歯磨きを手伝ったり、驚くほど便利で暮らしに馴染んでいるそう。

 

さらに、2階から1階へ洗濯物をポイッと落とせる「ランドリーシューター」も。

「面倒くさがりなんです」と笑うAさんのユニークな発想が、

毎日の家事をぐっとラクにしてくれる。

 

家づくりのルールよりも、家族の「こうだったらいいな」を大切に。

デザインも暮らしやすさも諦めない自由な気持ちが、最高の「心地いい!」を生み出した。

この真っ白なキャンバスには、これからも家族の笑顔が、たくさん描かれていくことだろう。

家族構成 夫婦+子ども1人
所在地 東京都
本体価格帯 3,900万円~3,999万円
敷地面積 124.26㎡(37.5坪)
延床面積 121.22㎡(36.6坪)
竣工年月 2024年4月

担当
赤秀 莉菜

ミリ単位の神業
テレビの背面に採用したのは、調湿性に優れた天然素材「モイス」のパネル。建築士の赤秀さんは、すべてが美しく均等に収まるよう、パネル幅296ミリ、目地1.1ミリという、ミリ単位の計算で設計。その難易度の高いオーダーに、職人は一枚一枚手作業で応えてくれたという
オリーブ色の塗り壁
隣家と被らず、汚れも目立ちにくい。そんな理由で選ばれた、絶妙なオリーブ色の外観。独特の質感と温かみを出すため、仕上げは塗り壁にこだわった。目隠しを兼ねた門柱も同じ塗り壁で統一。家族のプライバシーを守るだけでなく、一時的にゴミ袋を隠せるなど、暮らしに寄り添う機能性も備えている
「白一色」が新鮮
キッチンは、潔いほど「白一色」。「飽きずに長く使えるし、汚れたらすぐ気づけるのもいいですね」と夫人。同じく白い背面棚にはこだわりのアイテムを飾るためのスペースも。奥には天井まで活用したパントリーも備え、美しさと機能性を両立している
見守るためのレイアウト
「家の中に死角を作りたくない」。そんな夫人のオーダーを元に、LDK全体を一望できるキッチンが生まれた。家事をしながらでも、ダイニングテーブルやリビングで過ごすお子さんの様子をいつでも見守ることができる。左手の扉の奥は、階段下を活用した収納。掃除機など、日々の道具がすっきりと収まる
朝の光でメイクアップ
既製品の鏡に、職人手作りの引き出し、そして夫人が選んだタイル。様々なパーツを組み合わせ、世界にひとつのオリジナルな洗面コーナーを造作した。元デザイナーだという夫人が、自らタイルのレイアウトを担当。朝の光が差し込む東側に配置し、家族が並んで使える広さも確保。デザインと使い心地、その両方にこだわった
コンパクトな開放感
リビングの隅にさりげなく設けたコンパクトな吹き抜け。小さいながらもその効果は絶大で、空間に圧倒的な開放感をもたらす。上部に設けた室内窓からは、爽やかな光が差し込む。夫人は「ソファの隅に座って見上げるのが好きなんです。光が本当にきれいで…」と、その美しさに日々感動しているそう
Rが映える土間玄関
Rの壁が印象的な玄関土間は、夫人の「こんな空間にしたい」というイメージを形にしたもの。以前の住まいでは、家族が順番に靴を履いていたという悩みを、この広々とした土間が解消。「みんな同時に準備できるので、朝の出発がスムーズになりました」と大満足。扉のないシューズクロークなど、暮らしやすさのためのアイデアが満載
こもらない書斎
2階のホールをAさんの書斎スペースとして活用。「一人で部屋に籠るより、家族と空間を共有する方がいい」というAさんの想いを形にした。ここでテレワークをしていると、帰宅したお子さんが「ただいま!」と顔を出すのが、日々の微笑ましい風景だ。造作のベンチはこまごまとした物をしまえる引き出し収納付き
アウトドア感溢れるホームシアター
リビングとひと続きになった、プライベートな囲い庭。隣家との間に高さ3mの壁を設けることで、外からの視線を完全にシャットアウト。その壁は、夜になると巨大なスクリーンに早変わり。開放的なホームシアターとして、家族の時間を彩る。夫人が選んだ植栽の緑を室内から眺める、癒やしの時間も格別だ
私のおこもりランドリー
2階のランドリールームは、洗濯から乾燥、そして収納までが一括で行える、家事ラク空間。家族の服は隣のファミリークローゼットへ。タオルや下着は「ランドリーシューター」で1階の脱衣室へ。洗濯物が乾くのを待つ間、ここで読書をするのが夫人の密かな楽しみだそう
洗濯物が降ってくる
2階のランドリールームと、ランドリーシューターでつながる1階の脱衣室。洗濯物が、ぽーんとこのカゴに落ちてくる仕組みだ。床には、温泉施設でも使われるという「ボロンフロアタイル」を採用。汚れに強く、いつでもサラリとした心地よい足触りが特徴。
洗濯したら、隣に掛けるだけ
ランドリールームのすぐ隣にあるファミリークローゼットは、乾いた洗濯物をそのまま掛けてしまうことができる。来客時にサッと物を隠せる広々サイズも魅力的だ。クローゼットの上部には小屋裏収納を設けており、脚立を使って出し入れが可能。スーツケースやクリスマスツリーなど、使用頻度が限られるアイテムをしまっている
廊下の万能シンク
2階の廊下に設けた、コンパクトな手洗いコーナー。トイレの後だけでなく、加湿器の水を入れ替えたり、ちょっとした“つけ置き洗い”をしたりと、実は驚くほど多用途に活躍する。暮らしの「あったらいいな」を叶える、賢いアイデアだ
この扉が省エネの鍵
階段と2階フロアの間には、木とガラスを組み合わせた造作扉を設けている。1階で稼働しているエアコンの空気が2階に漏れることがなく経済的だ。また2階で仕事をしていても、階下の音が遮断されるため作業に集中できる
木と、グレーの、いい関係
トイレの壁一面には、温かみのある木調のアクセントウォールを採用。シンプルなグレーのフロアタイルとの相性も良く、空間全体をきりりと引き締めている。異素材の組み合わせが、モダンで落ち着きのある、上質な雰囲気を生み出した
秘密のトンネル
洗濯物を抱えて、重い足取りで階段を上り下り。そんな家事の当たり前を覆すのが、この「ランドリーシューター」だ。2階のランドリールームから1階の脱衣室へ。洗った服やタオルが、この四角いトンネルを通って、一瞬でワープする。暮らしのストレスを建築のアイデアが鮮やかに解決した好例

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