Yさん夫婦は賃貸アパートからの住み替え。
そろってテレワークの機会が増え、自宅が少し手狭に感じ始めていたそうだ。
マンションも考えたが、庭いじりに憧れる夫人の想いを汲んで最後は戸建てを選択。
広い庭が取れそうな現在の土地とも出会い、注文住宅を計画することになった。
新居のコンセプトは“リビングが主役の家”。
一番長い時間を過ごすリビングを、一番快適な場所に。
広く、明るく、開放的な空間にしたいと建築士の鶴田さんにオーダーしたそうだ。
「妻は明るさ、開放感を叶えるために吹き抜けを希望していました。
ただ私はエアコン効率が気になるので、できれば吹き抜けは避けたい…。
そんな真っ向から異なる2つの要望を、どちらも否定せず受け止めてくれたんです」(Yさん)。
吹き抜けを使わずに、明るさや開放感を叶える――。
鶴田さんはまず外の視線が気にならない庭側からたっぷりの光を確保。
そして通り側には細いスリット窓を配置し、やわらかい光を取り入れた。
またリビングの一部を折り上げ天井にし、逆にキッチンの天井は一段折り下げに。
高さにコントラストをつけることで、相対的にリビングを開放的に感じさせるアイデアだ。
「ストレスなくテレワークができて、休日は庭の手入れを楽しんでいます。
この家に住んで心が健やかになりました」と夫人は嬉しそう。
広く「見せる」アイデア
リビングを折り上げ天井にする一方で、キッチンは折下げ天井に。相対的にリビングの高さが強調され、広く開放的に感じられる
住宅地でも明るく暮らす
さりげなく3つ並んだスリット窓がポイント。室内の様子はほぼ見えないが、しっかりと光を取り込んでくれる。バルコニーをなくしたすっきりとした外観デザイン
キッチンからの眺め
リビングダイニングの床はナラカシの突板フローリングを採用。こちらは同社の標準仕様に含まれている
キッチンにも木をたっぷり
板張り天井やカップボードなど、木をたくさん取り入れたキッチン。質感豊かなフロアタイルは鶴田さんの提案。過去のお客さんの事例を見せてもらって、夫人も一気にイメージがわいたという
リビングと連続する書斎
リビングと併設の書斎は夫人のオーダー。好きな色のクロスや、ぴったりのサイズに調整した造作デスクで、テレワークもはかどりそう。小窓から光が差し込み、いつでもリフレッシュできる
集中モード
扉を閉めると完全分離の書斎に。夫人がテレワーク中でも、Yさんはダイニングで気兼ねなく過ごせる。(扉だけで音漏れ大丈夫かな‥‥?)と少し心配だったが、鶴田さんが書斎の内壁に断熱材を入れて防音効果を高めてくれたそう。「書斎の声も漏れないし、2階でテレワークしている夫の声も聞こえません」(夫人)
これが職人の技
「こういうのが欲しかった!」と、夫婦が絶賛したキッチンカウンター兼飾り棚は職人の力作
明るさは欲しい、でも外の視線は気になる
大きな窓の代わりに鶴田さんが提案したのは、通り側の壁に細長いスリット窓を3つ並べること。「プライバシーと採光を両立。窓を縁取る壁が手前に10センチほどせり出すのですが足元まで延びた細長い形状なので、圧迫感を感じさせません」(鶴田さん)
忙しい朝もストレスフリー
朝、夫婦が同時に身支度できるように、洗面室はゆったりと広め。洗面台も大きく作っている。モルタル調のカウンターと、木質感のある棚やニッチはSNSのアイデアを参考にした
地窓で広さと明るさを
玄関を広く見せるため、地窓から光を取り入れるプランに。黒いアイアンの室内窓は、オーダーで作ったもの
玄関を2WAYに
コンパクトな手洗いを境目に、来客用と家族用の玄関をさりげなくゾーニング。通気性のよい木製の折戸収納は経年変化を楽しむことができる
たっぷり収納ですっきり暮らす
2階には大型収納を備えた。季節のアイテムや大型家電、段ボールなどすっきりしまっておける
休日の楽しみ
すみずみまで手入れが行き届いた庭。芝も自分で張ったそうだ。「クリスマスローズやビバーナム、アジュガ・・・。今度はバラにも挑戦する予定です」(夫人)
まずは、今の暮らしを大切に
寝室は将来的に2部屋にセパレートすることを想定して、扉やクローゼットを2つずつ設置。「『今すぐ2部屋必要じゃないなら、大きな寝室として使った方がいいのでは?』と鶴田さんからアドバイスいただきました」(夫人)