建築実例

家族と一緒に成長する家

家族の姿は、年月とともに少しずつ変化していく。

子どもの成長に伴い、住まいに求められる役割もまた変わっていくものだ。

だからこそMさん邸では、いまの暮らしやすさを追求しながら、

その先にある未来にも自然と寄り添える住まいを目指した。

 

一つの答えとして導き出したのが、1階だけで日々の暮らしが完結する間取りである。

LDKを中心に、子どもの遊び場となる小上がり、水まわり、

そして大容量の収納までをワンフロアに集約。

上下階の無駄な移動をなくすことで、家事や身支度の負担を最小限に抑えている。

いまは子育てを軽やかに愉しみ、年齢を重ねても無理なく過ごせる、持続可能な住まいの骨格だ。

 

リビングの一角に配した小上がりも、そうした時間の変化を柔軟に受け止める居場所のひとつ。

現在は子どものおもちゃを広げる格好の遊び場であり、

将来的にはピアノを据えるスペースとしての活用も見込んでいる。

 

暮らしを支える動線計画にも、細やかな配慮が光る。

キッチンと玄関ホールの双方からアクセスできる回遊パントリーや、

「洗う・乾かす・しまう」が一直線に完結するランドリースペース。

日々の家事効率を劇的に高める工夫が、1階での快適な日常を確かなものにしている。

 

2階にはあえて役割を固定しないフリースペースを確保した。

現在は家族でくつろぐセカンドリビングとして活用し、

将来的には子ども部屋へと仕切ることも見据えている。

暮らしの中心を1階に置きつつ、2階にはあえて「決めきらない余白」を残しておく選択だ。

 

ひとつの場所に、ひとつの役割だけを与えない。

ライフステージが変わるたびに住まいをつくり直すのではなく、

同じ場所の使い手を、使い方を、少しずつ変化させていく。

いまの心地よさと、未来への安心感。

その両方を大らかに包み込む寛容さが、この住まいには満ちている。

所在地 東京都
本体価格 4000万円台
敷地面積 148.79m2 (45.0坪)
延床面積 119.87m2 (36.2坪)
竣工年月 2025年2月

担当
赤秀 莉菜

キッチンも育っていく
料理好きな夫人のこだわりが詰まったステンレストップキッチン。使うほどに味わいを増す天然木カウンターと、日用品をすっきり収めるリビング側収納が利便性を高めている
今はキッズエリア、未来はピアノ室
リビングの一角に設けた小上がりは、子どもの格好の遊び場。段差を活かした引き出しで収納力を高めつつ、将来ピアノを置くことを見越して床補強も施している
買い込みすぎても大丈夫
愛らしいアール壁の奥には、大容量のパントリーを配置。食材から防災備蓄、日用品まで丸ごとすっきり収まり、玄関ホールからの回遊動線も利便性を高めている
吹き抜けでつながる
1階と2階を吹き抜けで緩やかにつなぎ、どこにいても家族を感じられる空間に。壁紙にはやわらかなグレージュをあしらい、静かな心地よさを演出している
美しい静けさ
落ち着いた色味のジョリパットを塗り分けた、和モダンの外観。木目調の軒天が温かみを添え、外壁と門柱で塗り方を変えることで豊かな表情を生み出している
ママの隣で、今日のお絵描き
キッチン・ダイニングから目線が届く場所にワークスペースを設置。料理をしながらお子さんのお絵描きや学習を見守れる安心のレイアウトだ
夏はここがプールサイド
大きなビニールプールを広げられるタイルデッキをプランニング。プール遊びやBBQなど、日常の中で気軽にアウトドア気分を楽しめる特等席だ
どんな未来にも順応
階段を上がった先の広々としたフリースペース。現在はセカンドリビングとしてのびのび使い、将来は壁を立てて個室へ変更できる余白を残している
このサイズだから集中できる
L字カウンターと本棚を造作した3帖のワークスペース。コンパクトだからこそ居心地が良く、仕事を快適に進められる大人の隠れ家だ
手を洗うまでが帰宅です
玄関を入ってすぐの場所に広いカウンターの洗面台を配置。帰宅後の手洗いがスムーズで、子どもと一緒に並んで身支度ができるのも頼もしい
雨の日でも、強い
乾燥機や物干しパイプ、靴が洗えるスロップシンクまで集約したランドリー。天気や時間を気にせず、洗濯に関する作業をストレスフリーにこなせる
洗濯物を家じゅう歩かせない
脱衣室のすぐ隣に家族全員のクローゼットを配置し、家事動線を直線化。1階は普段着、2階はオフシーズン物と分けることで衣替えも一瞬で終わる
今日をリセットする場所
寝室は土壁を思わせる穏やかな色味でまとめ、LDKとは少し趣の異なる落ち着きをつくった。壁面には小さな段差を利用した置き場所も設け、時計やリモコンなどをすっきり収められる
2階にも、ちゃんと水場
2階にはインテリアと馴染む造作洗面台をレイアウト。壁には深いブルーのタイルを採用し、1階とはまた違う表情に
手すりだって家具になる
遊びに来る両親のためにしっかり握れる手すりや造作ベンチを用意。デザインを空間に自然になじませながら、やさしい配慮が光る玄関だ
仕事しながら気配を感じる
吹き抜けに面した書斎に室内窓を設置。個室として自分の作業に没頭しながらも、下のLDKにいる家族の気配や歓声を感じられる絶妙な距離感だ
油ハネもサッと笑顔で
ブルーグリーンの美しいタイルで壁面に爽やかな個性をプラス。デザイン性だけでなく、油や水ハネのお手入れがラクなのも嬉しいポイントだ
しまうよりも、眺めたい
キッチンに造作した木製ラックには、日々使う器や道具をオープンに収納。使うものがすぐ取れるだけでなく、お気に入りの道具を眺められるのもオープン収納ならでは

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